
落語立川流真打:立川談春さんの独演会で、オープニングに使われる大道具を、ハナミ・サイン・ディスプレイで制作させていただきました。
2007年4月、新宿・紀伊国屋ホールにて開催された、立川談春独演会「白談春・黒談春」第2回「黒談春」のリハーサルでの撮影許可を頂きました。
ファイバードラムについての簡単な解説と、実際に使用されているシーンをご紹介いたします。
紙のドラム缶「ファイバードラム」
この大道具は、独演会のオープニングで、立川談春さんの登場シーンに使用されるものでした。
舞台に転がされてきたドラム缶の中から、立川談春さんが現れるという演出です。
ドラム缶には、弊社の大判インクジェット・プリンターで印刷した、立川談春さんのポートレートを巻き付けているのですが、このドラム缶はファイバードラムと呼ばれている製品です。

ドラム缶の中に立川談春さんが入り……

転がされながら登場するという演出です。

新宿:紀伊国屋ホール、準備中のステージ。
ファイバードラムとは、簡単に説明すると「紙製のドラム缶」で、高強度のダンボールの様な素材「クラフトライナー」で出来ており、主な特徴は以下のようなものです。
- 紙製なので軽く、輸送コストに優れます。
- 安価で、とても経済的です。
- 必要充分な強度があり、主に粉体状の化学品や医薬品などの輸出に使用されています。
- 環境に優しく、焼却や、リサイクル性能に優れています。
- 使用用途によって、様々な大きさを選択する事ができ、防水、防湿加工なども可能です。
ファイバードラムが大道具に最適だった理由
本来は、粉体状の化学品や、医薬品などの輸出用に使用されているファイバードラムですが、意外にも舞台公演の大道具に最適な特性を備えていました。
ファイバードラムが大道具に最適だった理由は、以下の4つです。
- 外観は、大判プリンターの印刷で仕上げることが出来るので、安価で、自由度の高い表現が可能です。
- 紙製で軽いため、舞台での取り扱いが容易です。
- 必要充分な強度をもったファイバードラムは、繰り返しの公演にも耐えられます。
※あくまでも、ファイバードラムの強度に関してを謳うもので、中に人が入った場合の安全を保障することは出来ません。 - 公演後、不要になった場合の処分が容易です。
制作したファイバードラムが舞台で使用されている、リハーサル・シーン
ファイバードラムで制作した大道具が、実際に舞台で使用されている、リハーサル・シーンを撮影させて頂きました。
転がされてきたファイバードラムの中から、立川談春さんが出てくる、オープニングのリハーサルです。






理由:詳細
1:安価で、早く、自由度の高い、大判プリンター印刷による仕上げ
弊社が担う主な部分が、この大判プリンター印刷を使用した制作です。
このたび制作したファイバードラムには、「塩ビ・マットラミネート」という素材に、大判インクジェットプリンターで印刷したものを、表面に巻き付けています。
ファイバードラムは、塗装することも可能なメディアですが、大判プリンターで印刷したものを巻きつける方が安価で、早く仕上げる事ができます。
また、写真を使った表現が可能で、巻きつける素材を選ぶことができるのも、大判プリンターを使用する事の大きなメリットです。
※使用可能な素材は、弊社の大判プリンターに対応し、糊つきの素材に限られます。

2:軽量を活かした、舞台での取り回し
軽量であることを活かして、写真のように、横に倒したり、転がしたりすることが、容易です。
搬入、撤収の際にも、軽量である事が、大きなメリットになります。
本来、ファイバードラムは輸送に使用されているものですから、積み上げる事も可能なので、積み上げて柱のように見せるなど、様々な舞台表現に応用することが出来るのではないでしょうか。


3:繰り返しの公演にも耐えられる、ファイバードラムの強度
紙で出来た、軽量なファイバードラムですが、写真のとおり、中に人が入ったまま転がすような使い方をしても、簡単には壊れません。繰り返しの公演にも耐えられます。
必ずしも、ここまでの強度が、大道具に必要とは限らないと思いますが、演出方法によっては、様々な使い方が考えられるのではないでしょうか。
ただし写真の例は、公演のプロフェッショナルによって実現されている例ですので、中に人が入った場合の安全を、弊社が保障するものではありません。
ご使用方法に関しては、お客様の責任で、充分な安全確認を行なって下さい。


4:処分が容易なファイバードラム
ファイバードラムは、リサイクルも配慮して設計されておりますので、分解も容易で、大部分は焼却が可能なため、ご不要になった場合の処分に苦労しません。

蓋は金属製ですので、リサイクルする事が可能で、本体は処理場で焼却することも、粉砕して有効利用する事も可能です。
以上の特徴は、立川談春さまの大道具に使用していただくという、ご光栄に預ることで、発見できました。
ファイバードラムと大判インクジェット印刷の組み合わせは、これらの特色を活かすことで、他にも様々な使用方法が考えられそうです。